Q66:
52歳の母がヘバーデン結節と診断されました。母は酒屋で1年前からパートしてます。重い物を運んでいます。
安静にするよう指示され薬をもらって帰って来ました。一生治らず、進行は止められないと言われ、家事もパートも編み物もダメと言われて半泣きで帰ってきました。本当に一生治らず進行すら止められないのでしょうか?左手の中指が45度くらい曲がっていて触ると痛いそうです。大好きな編み物も出来ずかわいそうで見てられません。一生治らないんですか?進行し続けて、じきに動かなくなるんですか?

A66:
へバーデン結節は、指の第一関節(DIP関節)が変形する疾患です。原因は素因や局所の負担などが考えられますが、分かっていません。最初に報告したへバーデン博士(William Heberden )の名にちなみ、へバーデン結節と呼ばれています。骨や軟骨が背側に硬く盛り上がり結節を作ります。進行すると第二関節(PIP関節)も横にまがり、漫画の魔法使いの手のようになることもあります。PIP関節の変形の方はブシャー結節(Bouchard's)と呼ばれます。ほとんどは両側に生じ、更年期以降の働き者の女性に多くみられます。
進行の程度を押さえるためには局所の安静、痛みや変形が強い場合は簡単な副木やギプスで固定します。外用薬も多少、効果はありますが、当院では低出力レーザー治療を第一選択として行っています。レーザーには鎮痛効果と抗腫脹効果があります。ヘバーデン結節は程度がひどい場合は手術をする場合もありますが、保存的にも数年である程度の変形と拘縮(関節が固く動きずらくなること)を残し落ち着いてきます。


Q65:
陸上の中距離をやっています。しかし最近、股関節左に激痛がはしり、保健の先生に、剥離骨折かもと言われました。剥離骨折なんて聞いたことないので、教えてください。

A65:
股関節の動かす筋肉は、股関節の周囲の骨(腸骨、恥骨、坐骨)に付着していて、若年者の場合はスポーツなどで付着した骨ごと剥がれることがあります。

主な剥離骨折の部位は、
●腸骨の上前腸骨棘
  腸骨前方のベルトがかかる骨のでっぱりのところです。この部位には膝を曲げるための筋(大腿筋膜腸筋、縫工筋)の付着部があり、短距離走でのスタートダッシュなどで起こりやすい。

●腸骨下前腸骨棘
  腸骨の股関節のすぐ上です。膝を伸ばすための筋(大腿直筋)の付着部があるためボールを蹴ったりで起こりやすい。

● 坐骨
  座ったときにお尻の下側にでっぱった骨です。ここは臀部の筋の付着部で力強く踏ん張ったりした時に起こりますが、頻度は少ない。
いずれも保存的に治癒できますが、転位が多いときは手術治療も考慮されます。


Q64:
野球で、ボールを投げ過ぎで、医者に剥離骨折と診断されました。剥離した骨は、どうなりますか? 肘の痛みが無くなると、又ボールを投げてよいですか?

A64:
いわゆる野球肘と呼ばれる疾患です。ボールの投げすぎで関節の中の軟骨がぶつかり過ぎて、剥がれてしまったものです。「離断性骨軟骨炎」とも呼ばれます。基本的に軟骨は剥がれてしまうと自然とは元に戻りません。剥がれたところは凹んだままになります。軟骨の傷を広げないようにしないと、肘の屈伸がますますできなくなります。一方、剥がれて離れた軟骨(一部骨がついている場合もあります)は軟骨の塊になり、関節の中を動き回わり、時々ひっかり急に肘が伸びなくなったりするいたずらをするようになります。そのとき音がするので「関節ねずみ」=関節遊離体とも呼ばれます。関節ねずみは手術をしないと取れません。この段階になると、病状の程度によっては野球は当分の間出来なくなることも覚悟しなくてはいけないかもしれません。今後、どのようにするかは主治医の先生に十分お話を聞いて決めていってください。


Q63
湿布や軟膏(鎮痛消炎剤)は表面的な炎症に効果があるが、筋肉痛・骨膜炎などの深部に対しては効果がないって本に書いてありましたが本当でしょうか?

A63:
薬品メーカーからは消炎鎮痛剤入りの湿布剤、プラスター剤、軟膏は皮膚より消炎鎮痛剤が吸収され、特に局所に効果があり、微量ではあるが全身的にも吸収されると聞いてます。従って、皮膚だけでは無く深部にも効果があるはずです。


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