●マレットフィンガー(槌指)●
いわゆる「突き指」で良く起こる怪我です。
DIP関節(指の先の関節)が曲がったままで伸びなくなってしまった状態です。
原因
◇原因は大きく分けて2つあります。
1.腱が原因
末節骨に付着している伸筋腱が切れてしまった。
2.骨が原因
末節骨が骨折し付着した伸筋腱と共にはがれた状態。ひどいとDIP関節が脱臼してしまいます。
〓関連項目〓
1.腱が原因の場合は
腱がペラペラのため手術的に縫合が難しいため保存的治療となります。約10週間, DIP関節を伸展位に保つ副木(アルフェンスシーネ)や 装具(スプリント)を当てておきます。当院では副木としてプライトン(商品名)を使用しています。
2.骨が原因の場合は
観血的手術が必要です。最近では切開をしないで皮膚の上からワイヤーを刺して整復位を保つ手術(経皮的ピンニング)が主流になっています。 (石黒法)
〓今回出てきた言葉をマスターしましょう。〓
◇ボタンホール変形:
マレットフィンガーとは逆でDIP関節が過伸展、PIP関節が屈曲位になった変形。中節骨基部の伸筋腱が切れたためや慢性関節リウマチで起こる。
◇スワンネック変形:
DIP関節はマレットフィンガーと同じに屈曲位、PIPが過伸展になった状態。やはりリウマチや陳旧性のマレットフィンガーに見られる。親指におこると「まむし指」とも言う。
◇深指屈筋腱
指を曲げるのには2種類の屈筋腱があります。浅指屈筋腱と深指屈筋腱です。両方とも屈筋腱は前腕部掌側に筋腹を持ち、腱は手関節から指先に繋がっています。浅指屈筋腱と深指屈筋腱は指ごとに寄り添って走り、浅指屈筋腱はPIP関節の中節骨基部に付着しPIP関節を主に曲げる働きをします。深指屈筋腱はDIP関節の末節骨基部に付着し、DIP関節を曲げる作用をします。深指屈筋腱は独立性が乏しく、環指と小指のDIP関節は別々に曲がりません。
◇保存的治療
メスを使わない治療。非観血的治療とも言う。
◇観血的治療
メスを使う治療。いわゆる手術。
◇末節骨:指の先の爪のついた部分の骨、5本ある
◇中節骨:指の真中部分の骨、4本ある。親指には無い
◇基節骨:指の根元の骨、5本ある
◇中手骨:手の甲にある骨、5本ある、手の甲にあるので骨の両側は触れない。
◇手根骨:手くびの手の先がわに8つある。
◇橈骨:前腕の親指側の太い骨。部位を表すため”橈側”などとも使う
◇尺骨:前腕の小指側の細い骨。”尺側”などと使う
◇DIP関節:指の先端から最初の関節。末節骨と中節骨の間の関節(distalinterphalangeal joint)
◇PIP関節:指の先端から2番目の関節。親指には無い(proximal interphalangeal joint)
◇MP関節:指の根元の関節。(metacarpal phalangeal joint)
◇CM関節:手の甲の根元の所の関節。親指の他は動きずらいのでわかりずらい(carpo metacarpal joint)
◇趾は足の趾、指は手の指
余談:趾はなぜあしへんに止まれなの?
止まれの字は何か鳥のあしあとに似てませんか