2002年10月健保法・老人保健法改定Q&A

(東京保険医新聞2002年10月5日号)


●老人保健対象者の取扱い

Q1
10月以降70歳以上の人は老人保健対象者と前期 高齢者に分かれるが、昭和 7年9月13日生まれの人は どちらになるのか。

A1、
02年9月30日において70歳以上の者は老人保健 対象者となる。お問い合わせの方は、02年9月13日で 満70歳となるので老人保健対象者となる。


Q2
老人医療受給者証の 市町村番号・受給者番号は、今回の改定によって変更があるか。

A2、
変更はない。今回は一部負担割合は所定の欄が設けられ、その欄に明示さ れる


Q3、
「65歳以上の高齢者で 老人保健対象者となる障害者」とは具体的にどのような障害を有する者が対象と なるのか。

A3、
お配りしている「医療保険改定のポイント」の 22頁をご参照いただきた い。なお、老人保健の適用 を受けるため、申請が必要である。また「老人保健対 象者」として市長村長の認定を受けても、65歳以上の認定者であるためマル障医療の対象にはならないので、ご留意いただきたい。


Q4、
減額認定証は、改定後も有効とされたものにつ いては、引き続き有効期限 まで有効となるよう経過措置があるとのことだが、従来の非課税を「低所得U」、 老福を「低所得I」と読み 替えるのか。

A4、
そのとおりである。


Q5、
減額認定証の交付を 受けるためには申請が必要 とのことだが、参考になる 説明文はあるか。

A5、
減額の認定要件は「医療保険改定のポイント」の 24頁をご参照いただきた い。具体的な申諸方法は各 市町村にお尋ね頂きたい。


Q6、
老人医療受給者証は、  「収入状況等の変更により 負担割合・月額上限が変更 となる場合がありうる」と あるが、年度半ばで変更さ れることがあるのか。

A6、
その通り。
一般(1 割)から一定以上所得者(2 割)、または一定以上所得者 から一般への変更は、世帯 の収入状況等の変更を市町 村が常に管理し、年度途中 であっても変更することと されているため、注意が必 要である。


●前期高齢者の取り扱い

Q7、
高齢受給者証は従来 の公費負担の医療証のよう に公費負担者番号等は、設定されないのか。

A7、
高齢受給者は一部負担の割合が示されるもので 公費負担者番号、受給者番号はつけられていない。



Q8、
前期高齢者は一般点数を算定するとのことだ が、生活習慣病指導管理料 は算定できるか。

A8、
算定できる。ただし 老人保健対象者には算定で きないので注意が必要であ る。


Q9、
老人保健対象者と前 期高齢者の外来管理加算は 何点か。

A9、
老人保健対象者は従 来と変更なく、老人点数の 外来管理加算は月1回目ならば57点、前期高齢者は一 般点数での算定となり、月 1回目ならば52点となる。


●老人医療対象者、前期高齢者の一部負担金  

Q10、
老人医療対象者、前 期高齢者の一部負担金の徴 収方法はどうなったのか。

A10、
医療機関窓口での一 部負担金の徴収方法は次の 通りである。

@外来は1割(一定以上 所得者は2割)の定率負担 徴収し、窓口での負担上 限はない。
但し、在宅総合・ 在宅末期を算定する患者 は、外来での自己負担限度額(住民税課税の場合 12,000円、低所得者 8,000円、 上位所得者40,200円)を 上限として徴収する。

A入院についても1割  (一定以上所得者は2割) の定率負担であるが、入院の自己負担限度額を上限と して徴収する。


Q11
老人医療対象者、前期高齢者の外来での1割ま たは2割に準じ、調剤薬局 でも1割または2割の負担 が生じるのか。

A11、
調剤薬局において、 定額制(850円を月4回まで 徴収)の診療所で発行した 処力せんの一部負担金は徴 収しないというこれまでの 取扱いが廃止され、今後は 調剤薬局でも1割または2 割の一部負担金が生じる。
但し、外来薬剤一部負担金  (例えば内服薬1日分30円 など)は生じない。


Q12、
9月30日に発行され た処方せんを、高齢者であ る患者が例えば10月2日に 調剤薬局に持ってきた場 合、薬局では定率1割また は2割負担になるのか。

A12、
そのとおりである。


Q13
窓口で受給者証を提 示しなかった場合、一律「2 割」の負担金を徴収すると 聞いているが本当か。
その場合、後で提示があり負担区分が1割だった場合、償還払いされるとのことだが レセプトの表示はどのよう になるのか。

A13、
その場合の取り扱い については、
@月内に医療 機関で受給者証の確認がで きた場合で1割負担だった 場合は窓口で精算する。レ セプトも(高9)と表示 し、9割で請求する。

A翌 月以降に医療機関で受給者 証の確認ができた場合は、 当月までは2割徴収及びレ セプトも8割給付で請求を 行う(レセプトの表示は (高8))となる。
翌月は1割 負担で徴収及びレセプト請 求を行う。なお、負担金の 償還については、患者が2 割分の負担金領収書と受給 者証を市町村の担当課に持参し、償還の手続きをとることとなる。


Q14、
「在宅総合」及び「在宅 末期」算定患者の外来自己 負担限度額について、特例 で負担上限まで徴収し、限 度額を超えた部分について は現物給付されるとのこと だが、院外処方をしている 医療機関での調剤薬局の負担金についてはどのような 取り扱いになるのか。

A14、
健保法等の政令では 「薬局を除く」とされてお り、あくまで医療機関のみ の取扱いである。
従って薬 局では1割または2割の負 担区分の金額まで徴収し、 あとで医療機関、薬局双方 の負担金額を合算し、外来目己負担限度額(1万2千 円)を超えた負担金につい ては償還される。


Q15、
外来で院外処方を受 けた場合の自己負担限度を 超えた一部負担の償還額は とのように計算するのか。

A15、
具体的には次のよう に計算する。

例1(住民税課税の場合、 外来)
▼医療機関 15.000点  (自己負担 15,000円)  ▼調剤薬局 6,000点(自己負担6000)
 ※高額療養費・高額医療費の負担限度額は12,000円なので9,000円(15,000十6,000円-12,000円)が後日償還される。

例2(一般・住民税課税の場合、在宅総合)  
▼医療機関 15,000点 (窓口での月額上限は12,000円なので、差額3,000円は保険請求)▼調剤薬局 6,000点(自己負担 6,000円)  
※高額医療費の負担限度額は12,000円なので、それを超える負担分6,000円(12,000万十6,000円― 12,000円)が後日償還 される。


●診療報酬改定10月実施分

Q16
9月末で老人慢性疾 `外来総合診療料が廃止さ 10月より出来高で算定す どとになるが、老人慢性 疾患外来共同指導料を算定 していた患者に対し慢性疾患指導料を算定してよいのか。

A16、
老人慢性疾患外来共同指導料も10月で廃止されるの で、老人慢性疾患生活指導料で算定する。


Q17、
手術料について、100 分の70になる対象の手術は 19区分だけになったのか。 その他算定要件はどのよう に変更されたのか。

A17、
区分の再編等が行われ、19区分に示されている手術(医療保険改定のポイ ント106〜107参照)が対象と なる。算定要件は次のように変更される。

 ア、
手術のI〜3の区分について届出区分の再編を行 い、従来71区分だったもの が19区分になった。この結果、新たなグループに区分される手術の年間症例数が、届出の要件である年間 手術症例数を満たせばよいこととなり、実質的に手術症例数が緩和された。

 イ、
また、手術症例数が基準の60%以上を満たす医療機関において、当該領域の専門医が手術を行った場合 (専門医が執刀した場合に 限る)には減算を行わないこととされた。


Q18
180日超入院患者の保 険給付外しの除外対象拡大された部分で、気管切開術、  酸素吸入、喀痰吸引等をしている患者にあてはまる が、療養病棟では、それらの点数が入院基本料に包括され、処置の有無がレセプト上全く判断できない。こうした例で除外対象であることをどのように示すのか。
A18、
明細書の記載要領で、 除外対象者の場合レセプトに「選外」と書いてその理由を簡潔に記載することと されており、これにより判 断される。


Q19,
180日超の特定療養費 の除外規定で「重度の肢体 不自由者」について、従来 の一般病棟に入院90日超の 老人の取扱いに準じて障害 者手帳を取得している者を さすという解釈が浸透して いるようだが、180日超入院 では、重度の肢体不自出者 で寝たきり度Bランク以上 に該当している患者の場 合、主治医の医学的判断により″日常生活自立度(寝 たきり度)ランクB以上で ある旨″レセプトに記載すれば、とくに障害者手帳を 取得していなくても保険で の請求が可能か

A19、
障害手帳がなくとも 医師の判断でよい旨の確認 を東京社会保険事務局から得ている。障害者手帳がな くても「180日超入院」の取 り扱いから除外される。


Q20,
同一病名で他の一般 病院に3月30日から入院 し、今回当院(一般病院) へ9月20日に転院して来た 場合、180日超の日数計算は どうなるのか。

A20、
同一の原因による入 院であれば他の一般病院の 入院期間も含めて入院期開 か通算される。但し、02年 3月までに入院履歴がある 患者として経過措置の対象 となり、本事例の場合は04 年4月以降入院180日超の取 扱いを受けることになる。


Q21、
入院180日超の患者から、特別料金を徴収するには何か手続きが必要か。

A21、
東京社会保険事務局 に確認したところ、180日超 入院の差額徴収についての報告とその実施について、
@特別料金を徴収する旨の 報告書を提出する必要があり、報告した日から徴収可能、
Aまた、入院案内、掲示などで患者に明示することが必要である、との回答を得ている。