〔患者負担〕
Q.患者さんが「高齢受給者証」を持参しなかった場合、原則として「2割徴収」となるが、この取扱いは老人保健対象者に交付される「医療受給者証」を持参しなかった場合も同様となるのか。
A.老人保健対象者については、法律上従来どおり10割徴収となっているが、従来どおり、医療機関での弾力的な対応が可能である。
Q.「「高齢受給者証」を持参しなかった場合は2割徴収」となるが、いったん2割を徴収し、1割負担であることが判明した場合、「差額を返す必要なし」とされている。患者さんが高齢であることも考え、医療機関から差額を返してもよいか。
A.弾力的な対応が可能である。
Q.世帯構成の変更などで負担区分が変わっても、古い「高齢受給者証」で患者さんが受診を続けた場合、「過誤調整は患者さんと保険者・市町村間で実施」となっている。2割徴収して1割になる場合は意味が分かるが、2割の負担区分になったのに、古い1割負担の「高齢受給者証」で受診を続けた場合、差額の1割分はだれからどのように支払われるのか。
A.「証」の回収は、実際には被保険者・市町村の自主性に頼るしかない。「旧証」の回収と「新証」の交付が同時には行われていないのが現状である。しかし、医療機関としては患者さんが提示した「被保険者証」や「健康手帳」により資格を確認をするしかない。「旧証」による受診があった場合には、患者さんに今後「新証」を提示していただくことをお願いするのが基本であるが、やむを得ず対応する場合には、「旧証」の受給者番号により請求し、負担割合の差額は、患者さんと保険者・市町村の間で調整される。
Q.老人の一部負担については、850円×4回、3,200円、5,300円等の上限額があったが、10月以降にも設定されているのか。
A.患者さんから一部負担金をいただくに当たって、当該医療機関で上限額が設定されているのは、入院患者と入院外において寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)と在宅末期医療総合診療料(在医総)を算定している患者のみである。したがって、これら以外の患者は医療機関では上限額がない。
Q.窓口で徴収する負担額は1円単位まで徴収するのか。
A.1円の単位(10円未満)は四捨五入する。ただし、今回現物給付化されることとなった一定以上所得者の入院のケースにおいて、高額医療費の対象となるケース(自己負担限度額72,300円+(医療費−361,500円)×1%)については、1円単位まで徴収することとなる。この場合、1%負担に1円未満の端数が生じる時は四捨五入する。
なお、診療報酬明細書(レセプト)には、入院患者および入院外の在総診・在医総を算定している患者のみ窓口で徴収した金額(四捨五入した金額(※注))を「負担金額」欄に記入する。それ以外の場合は記入する必要はない。
※注:72,300円+1%の場合は1円の単位まで記入する。
Q.当院は院外処方せんを発行しているが、一部負担金はどのように徴収することになるのか。
A.院外処方せんの発行の有無に関わらず1割か2割を徴収する。ただし、上限額がある患者さんについては、上限額に達するまで1割か2割を徴収する。
なお、調剤薬局でも1割か2割を徴収する。院外処方せんの「備考」欄に負担割合((高9)など)を記載する。(『健康保険法等の改正 関係資料』44〜45ページ参照)
Q.70歳以上の高齢者の受診があった場合、窓口ではいくら徴収するのか。
A.来院受付時に「被保険者証」の確認とともに、「医療受給者証」、「高齢受給者証」または「減額認定証」(入院・在宅総合診療等の場合に医療機関での徴収限度額が減額されるため)の確認を行う。それにしたがって1割か2割の一部負担金を徴収する。
なお、入院している患者さんと在総診や在医総を算定している患者さんは、当該医療機関での窓口上限額が設定されているので、上限額に達した場合、それ以後の徴収は行わない。
〔在総診(寝たきり老人在宅総合診療料)・在医総(在宅末期医療総合診療料)〕
Q.定額制を届けていた診療所で在総診(院外処方せんを交付した場合)を算定した場合、従来は調剤薬局での患者負担はなかったが、10月1日以降はどうなるのか。
A.薬局においても患者負担(1割または2割)が発生する。
Q.在総診や在医総を算定し、院外処方せんを交付した場合、薬局で患者負担は発生するのか。発生するとすれば薬局での徴収も上限額までとなるのか。
A.薬局で患者負担は発生する。上限額までとなるのは在総診等算定医療機関のみ(薬局では上限はない)。
Q.在総診や在医総の算定患者の一部負担が限度額に達した場合、それ以降の支払いはどうなるのか。
A.限度額に達した以降は一部負担を徴収しない。それ以降の分は高額医療費として審査支払機関から医療機関に振り込まれる。
〔受給者証〕
Q.今回の改正により、従来の「老人医療受給者証」は引き続き使用できるのか。
A.70歳以上の老人保健対象者には新しい「老人医療受給者証」が交付されるので、10月1日以降、「旧証」は無効となる。
Q.70歳以上の一部負担として2割を徴収する患者さんを、医療機関ではどのようにして見分けるのか。
A.負担割合(1割負担か2割負担か)は、老人保健対象者については「医療受給者証」、医療保険適用の高齢者については「高齢受給者証」の「一部負担金の割合」欄に記載されるので確認されたい。
〔前期高齢者(70歳以上75歳未満の医療保険の高齢受給者)〕
Q.いわゆる前期高齢者(医療保険の高齢受給者)の考え方については、どのように考えたらよいか。
A.75歳以上の者が老人保健となり、70歳〜74歳の者は医療保険となって、1割か2割負担となる。
なお、昭和7年9月30日までに生まれた人は、引き続き老人保健の対象となり、昭和7年10月1日以降に生まれた人は、70歳〜74歳の間は前期高齢者(医療保険の高齢受給者)となる。
Q.昭和7年10月1日以降に生まれた人は一般医療対象となるので、生活習慣病指導管理料は算定可と考えてよいか。また、在総診は算定不可と考えてよいか。
A.そのとおり。
〔保険者や市町村の責任義務〕
Q.高額医療(療養)費の仕組みが複雑になったが、申請や手続きについて、医療機関(特に診療所)が患者さんに説明するのはなかなか難しいのではないか。保険者や市町村には説明義務があり、きちんとした対応をお願いしたい。
A.申請は患者さん自身で行うのが原則であるが、市町村等で高額医療(療養)費を把握しているので、市町村等が支給対象となる者に対し勧奨を行うなどの対応を指導するとのことである。
〔退職者医療制度〕
Q.退職者医療制度は廃止されるのか。
A.退職者医療制度は存続する。なお、平成15年4月1日から医療保険(健保一般)の負担割合が原則3割となるので、退職被保険者の負担割合も国保の一般と同一となる。
〔継続療養〕
Q.健康保険の継続療養についてはどのような取扱いとなるのか。
A.初診の日から5年の範囲で継続療養の給付があったが、平成15年4月1日から健保の負担割合が国保と同じ3割となり、国保の一般と給付率が同じとなったため、同時に廃止される。
〔請求書について〕
Q.在総診と在医総の診療報酬請求書も1枚の診療報酬請求書に記載するのか。
A.在総診と在医総は、その医療機関での上限額が設定されているので、在総診と在医総だけの診療報酬請求書とそれ以外に分けて記載する。
〔明細書について〕
Q.外来の診療報酬明細書について、「一部負担金」欄は記載するのか。
A.患者負担が定率となったので、医療保険、老人保健とも記載の必要がない。
ただし、老人保健の医療で在総診と在医総を算定している患者さんについては、その医療機関での上限額があるので、上限額に達するまで徴収した金額を記載する。
Q.診療報酬明細書の「本人・家族」欄は記載しなくてはならないか。
A.審査支払機関で負担割合が記載されていないと、医療機関への振込額が分からないので、該当する番号を○で囲むか記載する。
なお、「本人・家族」欄の取り繕い方法は別紙を参照していただきたい。
Q.月途中で保険者の変更があった場合、従来どおり2枚の診療報酬明細書となるのか。
A.そのとおり。