〔患者負担〕
Q.患者さんが「高齢受給者証」を持参しなかった場合、原則として「2割徴収」となるが、この取扱いは老人保健対象者に交付される「医療受給者証」を持参しなかった場合も同様となるのか。
A.老人保健対象者については、法律上従来どおり10割徴収となっているが、従来どおり、医療機関での弾力的な対応が可能である。
Q.「「高齢受給者証」を持参しなかった場合は2割徴収」となるが、いったん2割を徴収し、1割負担であることが判明した場合、「差額を返す必要なし」とされている。患者さんが高齢であることも考え、医療機関から差額を返してもよいか。
A.弾力的な対応が可能である。
Q.上記のような弾力的な対応が可能であるが、再度の受診が延期・中止等となり確認できない場合も考えられる。患者さんへ連絡がとれない場合や、やむを得ない場合は患者負担の割合を保険者や市町村に問い合わせることは可能か。
A.個人情報保護条例の問題となる可能性があり、保険者や市町村によって対応が異なると思われる。
Q.世帯構成の変更などで負担区分が変わっても、古い「高齢受給者証」で患者さんが受診を続けた場合、「過誤調整は患者さんと保険者・市町村間で実施」となっている。2割徴収して1割になる場合は意味が分かるが、2割の負担区分になったのに、古い1割負担の「高齢受給者証」で受診を続けた場合、差額の1割分はだれからどのように支払われるのか。
A.「証」の回収は、実際には保険者・市町村の自主性に頼るしかない。「旧証」の回収と「新証」の交付が同時には行われていないのが現状である。しかし、医療機関としては患者さんが提示した「被保険者証」や「健康手帳」により資格を確認をするしかない。「旧証」による受診があった場合には、患者さんに今後「新証」を提示していただくことをお願いするのが基本であるが、やむを得ず対応する場合には、「旧証」の受給者番号により請求し、負担割合の差額は、患者さんと保険者・市町村の間で調整される。
Q.同一月に1割徴収と2割徴収が生じた場合、レセプトはどのようになるのか。
A.まずは、その患者さんが継続的に通院されるのであれば、「高齢受給者証」を持参しなかったからといって2割負担を徴収するのではなく、1割を徴収して次回受診の際に「証」を確認するなどの弾力的な対応をしていただきたい。その上で、やむを得ずこのような状況が生じた場合には、その月のレセプトは、「証」による負担割合の確認の前後に応じた1割負担のものと2割負担のものの2種類を作成することになる。
Q.老人の一部負担については、850円×4回、3,200円、5,300円等の上限額があったが、10月以降にも設定されているのか。
A.患者さんから一部負担金をいただくに当たって、当該医療機関で上限額が設定されているのは、入院患者と入院外において寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)と在宅末期医療総合診療料(在医総)を算定している患者のみである。したがって、これら以外の患者は医療機関では上限額がない。
Q.窓口で徴収する負担額は1円単位まで徴収するのか。
A.1円の単位(10円未満)は四捨五入する。ただし、今回現物給付化されることとなった一定以上所得者の入院のケースにおいて、高額医療費の対象となるケース(自己負担限度額72,300円+(医療費−361,500円)×1%)については、1円単位まで徴収する。(1%負担に1円未満の端数が生じる時は四捨五入するので1円単位が発生する。)
なお、診療報酬明細書(レセプト)には、入院患者および入院外の在総診・在医総を算定している患者さんのみ窓口で徴収した金額(1円の単位を四捨五入した金額(※注))を「負担金額」欄に記入する。それ以外の場合は記入する必要はない。
※注:72,300円+1%の場合は1円の単位まで記入する。
Q.上記Q&Aや9/27付けで厚生労働省等から出された事務連絡(別紙2参照)によれば、窓口負担が1円単位で発生するとのことである。しかし、従来、保険医療機関等の窓口における事務処理の負担軽減を図るために、健保法第75条によって、一部負担金は10円未満の端数がある場合は四捨五入した額をもって実際に支払う額とすることになっているはずであるので、間違いではないか。また、1円単位まで徴収するとなると、窓口も患者さんも混乱するのではないか。
A.基本的にはご指摘のとおり、10円未満の端数がある場合には、1円の単位を四捨五入することとなっている。医療機関として留意すべきは、一定以上所得である患者さんが入院された場合の窓口負担である。その患者さんに係る自己負担額が限度額を超えない場合は、通常の窓口負担と同様に負担割合に応じて負担額を算出し、その場合、1円の単位は四捨五入の上徴収することとなる。
入院にかかる自己負担額が限度額を超える場合には、医療機関は限度額までの一部負担金を患者さんから徴収し、限度額を超える分については現物給付することとなる。
患者さんの自己負担限度額は、1円単位まで算出されることとなるので、医療機関が徴収する額も1円単位までということになる。
Q.当院は院外処方せんを発行しているが、一部負担金はどのように徴収することになるのか。
A.院外処方せんの発行の有無に関わらず1割か2割を徴収する。ただし、上限額がある患者さんについては、上限額に達するまで1割か2割を徴収する。
なお、調剤薬局でも1割か2割を徴収する。院外処方せんの「備考」欄に負担割合((高9)など)を記載する。(『健康保険法等の改正 関係資料』44〜45ページ参照)
Q.70歳以上の高齢者の受診があった場合、窓口ではいくら徴収するのか。
A.来院受付時に「被保険者証」の確認とともに、「医療受給者証」、「高齢受給者証」または「減額認定証」(入院・在宅総合診療等の場合に医療機関での徴収限度額が減額されるため)の確認を行う。それにしたがって1割か2割の一部負担金を徴収する。
なお、入院している患者さんと在総診や在医総を算定している患者さんは、当該医療機関での窓口上限額が設定されているので、上限額に達した場合、それ以後の徴収は行わない。
Q.高齢受給者証を持参しなかったため2割を徴収したが,同月内の次回診療時に高齢受給者証を持参したため1割負担であることが判明した。医療機関としての事務の簡素化から1割と判明した後も同月内は2割を徴収することとしてよいか。
A.療養担当規則上、医療機関は毎回受給資格を確認し、法の規定による一部負担金を徴収することとされていることから、仮に2割負担について患者さんの同意があっても、1割負担が判明した時点から1割を徴収する。なお、1割と判明した時点で、医療機関において前回の2割徴収分について精算することは可能である。