厚生労働省は28日、新たな高齢者医療制度に関し秋以降の議論のたたき台となる検討案をまとめ、社会保障審議会医療保険部会に示した。75歳以上の高齢者は2003年に閣議決定した基本方針通り「独立した制度を設ける方向で検討する」とし、本人に保険料の負担も求める。
現在の老人保健制度(対象を原則70歳以上から75歳以上に引き上げ中)では高齢者は保険料を支払っていないが、新たに保険料を徴収し、現役世代からの支援金と公費を合わせて医療費を賄う。保険料は年金から徴収、患者負担は1割を中心に検討が進む見込みで、地域保険とする。
65歳から74歳の高齢者は、予防を重視するため現役時代の国民健康保険や被用者保険に継続加入、患者負担は2割となる見通しだ。
国民健康保険の再編・統合は当面、近くの市町村をひとつにまとめる「ニ次医療圏」での統合を目指す。中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)は都道府県単位に分割、健康保険組合は同一都道府県域内で共同・連携を進め、地域型健保組合の設立を認めるべきとした。
ただ委員からは「高齢者医療を75歳で区切ることに納得したわけではない」などの異論も相次いだ。
同省は来年夏をめどに部会での議論をまとめ、2006年の通常国会に医療制度の抜本改革案を提出する方針。
医療保険改革検討案骨子
1、75歳以上を対象に独立した医療制度を新設し、地域ごとに保険料を設定
1、高齢者の保険料は年金から徴収
1、後期高齢者医療制度への国民健康保険(市町村国保)や健康保険組合からの支援金負担は、それぞれの財政力、医療費水準などを考慮
1、市町村国保は都道府県単位の運営を目指し、再編・統合
1、中小企業社員の政府管掌健康保険は地域に応じた保険料とするため、全国規模から都道府県単位に再編
1、大企業社員の健保組合は主に同一都道府県域内で企業・業種を超えた統合を促進
共同通信社