一定の条件でスキャナー使用も
厚生労働省は24日、「医療情報ネットワーク基盤検討会」(座長=大山永昭・東京工業大フロンティア創造共同研究センター教授)を開き、内閣官房が秋の臨時国会提出を予定しているe-文書通則法案(通称e-文書法)への対応案を大筋でまとめた。
対応案では、紙で作成した診療録等、処方せん、照射録等は、スキャナーによる読み取り保存を認めるほか、電子作成した診療録等や照射録等の電子保存も認める。処方せんの電子作成については、今後の課題とした。厚労省は委員からの追加意見を反映して、7月上旬にも対応を決定する。
e-文書法案は、民間の紙文書保存義務のある書類などについて、原則すべて電子保存を認める。e-Japan戦略IIを加速化させる施策のひとつで、ITを活用して文書保存の負担を軽減し、経営活動や業務運営の効率化を図るのがねらい。来年4月の施行をめざす。
e-文書法案は通則法とし、関係法律の個別改正を必要としない。内閣官房を中心に精査した結果、e-文書法案を適用する法律は約250本。そのうち厚労省分は67本で最多。このため検討会では、e-文書法案への対応について、下部組織の合同作業班やサブワーキングがまとめた論点整理メモや、事務局が提示した対応案を基に議論した。
対応案では、
(1)一定の規格・基準を満たすスキャナーを使用
(2)運用管理規定を定める
(3)情報作成管理者を配置
(4)作業責任者が電子署名などを行い、責任を明確にする
(5)信頼性のある読み取り時刻を明示
―など一定の条件を満たす場合、診療録等、処方せん、照射録等のスキャナー読み取りによる電子保存を認める。
過去に蓄積された紙媒体などを電子保存する場合の条件として、対象患者に院内掲示などで周知することや、患者から異議の申し出があった場合は読み取らないなど、必要な配慮を求めた。外部事業者に委託する場合は、技術基準や個人情報保護の要件を満たす事業者を選定することが必要となる。
診療録等の電子作成・保存は、今後の医療分野の個人情報保護ガイドラインの検討状況を踏まえ、必要な運用指針を検討する。照射録等の電子作成・保存は、電子署名などを行うことにより認める。
処方せんの電子作成は、患者が薬局を自由に選択できる保証や、医師による無診察診療を防止する必要性などを考慮し、慎重に検討する
(平成16年 6月 28日) 情報提供:Japan Medicine(株式会社じほう)