幼い時にはしかの予防接種を受けながら、小学校以上になってかかるケースが増えてきていることを受け、厚生労働省は、予防接種の回数を現在の1回から2回に増やす方針を固めた。風疹ワクチンとの混合ワクチン(MRワクチン)での接種を検討しており、MRワクチンが承認されれば来年末からでも実施したい考えだ。
はしかは現在、予防接種法の政令で、接種回数を1回とし、公費負担されるのは生後12カ月以上90カ月未満とされている。その上で実施要領で、標準的な接種時期を12カ月〜15カ月としている。
しかし、接種はしたものの、小、中、高校生などになると感染するケースが出てきた。同省の専門家による小委員会は昨春、「米国など先進国と同様に、複数回の接種を検討する必要がある」と提言。朝日新聞社が昨年秋、都道府県と政令指定市の計60自治体に対して実施した全国調査でも、31自治体が過去5年間、小、中、高校生らの症例があったと回答した。
同省は小委員会の提言を受け、接種回数を増やす方向で、来月、専門家による検討会を設置し、接種時期や方法などを詰める。2回目の接種時期については、小学校入学前か小学校高学年が挙がっている。風疹が再流行の兆しが出ていることから、MRワクチンにすることで、風疹を接種漏れした子どもをカバーする考えだ。ワクチンは現在承認申請中で、手続きには1年ほどかかるため、実施時期は早くても来年末になる見込みだ。
2回接種の背景には、ワクチンによる免疫力の低下がある。予防接種を受けて体内にできた抗体は、自然界にあるはしかウイルスと接触することで免疫効果が高められる。だが最近は、その接触が少なくなったため、免疫力を高められなくなったといわれる。「終生免疫」といわれたワクチンだが、メーカーからも「効果は5年から10年程度」という声も出ていた。 asahi.com
2004/08/20