■制限回数超える行為、7項目の保険併用可能に
中医協が答申、10月実施へ
中医協(土田武史会長)は31日の総会で、制限回数を超えて受けた医療行為と保険診療との併用を認めるため、これを選定療養に追加し、特定療養費制度の対象とする関連省令の改正について、尾辻秀久厚生労働相の諮問通り答申した。腫瘍マーカー検査のAFP(α−フェトプロテイン、同精密測定)、CEA(がん胎児性抗原精密測定)、理学療法、作業療法の個別療法や精神科デイ・ケアなどの7項目が対象で、10月1日から適用される予定。
保険給付との併用が認められるのは、
(1)腫瘍マーカー検査(AFP,CEA)
(2)理学療法(個別療法)
(3)作業療法(同)
(4)言語聴覚療法(同)
(5)精神科デイ・ケア
(6)同ナイト・ケア
(7)同デイ・ナイト・ケア−の7項目。
腫瘍マーカーは「患者の不安を軽減する必要がある場合」、リハビリテーションは「患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合」、また精神科専門療法は「患者家族の負担を軽減する必要がある場合」が併用の条件となる。
制限回数を超える医療行為をめぐっては、診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会が保険給付との併用を認めることが適当と判断した28項目について、厚労省保険局医療課がさらに精査し、7項目に絞った。対象外となったヘリコバクター・ピロリの除菌は将来的な保険給付との併用について、またヘモグロビンA1cなど135項目については併用が認められる7項目と合わせて、そもそも診療報酬上の制限回数を設定することが適切かどうかを同分科会で検証。検証結果を踏まえ、必要に応じて2006年の次期診療報酬改定で見直す。
総会に先立ち行われた診療報酬基本問題小委員会(土田武史委員長)で保険局医療課は、制限回数を超えて行った場合の保険上の取り扱いについて、「医療上の必要性がほとんどないことを前提として、患者の要望に従い、患者の自由な選択の下に制限回数を超えて医療行為が行われることが想定されるもの」に対して保険給付との併用を認めるとの基本的考え方を案として示した。しかし委員からは、「医療上の必要性がほとんどない」という表現に異論が出たため、土田委員長と医療課で再調整することになった。
小委では、診療側の松原謙二委員(日本医師会常任理事)が、「本来、医療上必要な行為は保険給付されるべき」としたが、今回の7項目は患者側が希望する内容で、一定の条件に基づく保険給付との併用は「理解できる」と述べた。また、精神科専門療法は最初の算定日から起算して3年を超える期間に行われる場合、算定は週5日が限度。松原委員は「週5回を越えると土日の実施となるが、デイ・ケアが必要な人をホテルに泊まらせるわけにもいかない」と述べ、妥当との認識を示した。また、支払い側の対馬忠明委員(健保連専務理事)は、これまでの議論が反映されていると賛意を示した。
8月31日 メディファクス 4753号−2
【資料】別に厚生労働大臣が定める制限回数が設けられている医療行為について
1 考え方
医療上の必要性がほとんどないことを前提として、患者の要望に従い、患者の
自由な選択の下に制限回数を超えて医療行為が行われることが想定されるものに
ついては、当該制限回数を超える医療行為について、保険給付との併用を認める
こととする。
2 上記考え方に従い、診療報酬調査専門組織の医療技術評価分科会の報告につい
て更なる検討を行った結果、以下について、「別に厚生労働大臣が定める制限回
数が設けられている医療行為」とする。
(1)検査(腫瘍マーカー)腫瘍マーカーのうち、AFP(α−フェトプロテイン、α−フ
ェトプロテイン精密測定)、CEA(癌胎児性抗原精密測定)については、患者の不安
を軽減する必要がある場合には、保険給付との併用を認めることとする。
(2)リハビリテーション
リハビリテーションのうち、理学療法(個別療法)、作業療法(個別療法)及び言
語聴覚療法(個別療法)については、患者の治療に対する意欲を高める必要がある
場合には、保険給付との併用を認めることとする。
8月31日 メディファクス 4753号−2