■診療報酬の再改定を求める
東京保険医新聞「主張」
政府・厚労省は健保制度史上初めての診療報酬マイナス改定を断行した。政府の発表では医療本体でマイナス1.3%、薬価でマイナス1.4%、全体ではマイナス2.7%となっているが、4月5月のレセプトを見ると、公称を上回る引き下げとの実感がぬぐえない。
協会は5月14日に内科、整形外科、精神・神経琳、耳鼻咽喉科、眼科を標榜する十床以下の開業医会員1946人に対し、改定による緊急影響調査を実施した。5月30日現在の中間集計結果では(回答率13.1%)、請求総点数対前年同月比をみると、全体ではマイナス7.6%となり公称のマイナス2.7%を大きく超えていることがわかった。
調査対象とした五科のうち 最も影響が大きかったのは、整形外科(16.3%減)で、耳鼻咽喉科(13.0%減)、眼科(7.2%減)と続いた。一番減少の少なかった精神・神経科でも2.9%減で、やはり公称を上まわっていた。診療科によっては、ニケタの減少となりマイナス改定の影響は深刻である。
今回の改定では、再診料への月内逓減制の導入、処方せん料の引き下げ、リハビリ関係などの算定回数制限など算定頻度の多い点数の改定が、平均、診療実日数の多い科に特に大きく影響した点は見逃せない。 同じ診療行為や手術に差をつける再診料の逓減制や手術料の規模別格差など、医師本来の技術料を全く軽視した改定内容には、怒りを超えて厚行為に対する認識の欠如に、ただ驚くばかりである。
日医の坪井会長も、本年度第一回都道府県医師会長協議会のあいさつの中で、「連日のように厳しい叱責等が直接私のところにも入っている。今回改定内容は、医師の技術を無視した政策だと怒りの声が多い」と述べている。更に四月改定内容だけにとどまらず、十月からも一層のマイナス改定が予定されており、これらも予定通り実施されればダメージは更に拡がる。
未だ経験のないマイナス改定で医療機関の収入滅や患者の負担増がどこまで拡大するだろうか。そのため医療機関では止むなく設備投資や人件費の縮小、合理化を行わざるを得なくなり、医療の質の低下が懸念され、国民医療に与える影響は計り知れないものがある。
このようなマイナス改定には断固抗議し、医療の質をより高め、国民に良質の医療を提供するためにも、診療報酬の再改定を強く求めるものである。
(2002.7.15 東京保険医新聞 第1209号より)