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■改定健保法 老人10月、健保は4月実施
老人1割・2割の確認など煩雑に


強行採決などの異常事態のなかで成立した健保法の主な内容は別表の通りで、窓口負担や実施時期も異なる。今までに明らかになった医療証の取り扱い等について紹介する。

●高齢者関連事項 
新「医療証」の確認が必須、 行政職員も混乱?

今回、老人医療の定額負担は廃止され、収入の多寡によりー割と二割の定率負担が導入された。九月中に 老人医療の受給者証は一斉に差し替えられ、負担割合を示す「一部負担の割合」欄が設 けられる。
 この老人医療受給者証は、無期限で使 用できる。しかし、収入の多寡により負担金の割合に変更が生じた場合は、年毎 に差し替えられる。 なお、対象年齢が毎年一歳ずつ引き上 げられる経過措置はあるものの最終的には、75歳以上と65歳以上の寝たきり・障害者の患者が対象とされる。
 また、一般医療適用となるが、一部負担は老人と同じになる70歳〜74歳 の患者に「一部負担 の割合」が示された「高齢受給者証」(有効期限 は毎年六月末まで・老人医 療対象者を除く)が発行さ れる。この「高齢受給者証」 を提出しなかった場合は  「一定以上所得者」とみな され二割負担扱いとなる。 負担金差額がある場合は償還払いとなる。
 負担割合については、前年の収入に応じて判定する ため所得税の申告が確定する六月に毎年、見直される。 また、これに加えて、保険証の確認も必要で、それぞれの「証」の更新時期がバ ラバラであり、患者、医療機関への周知ができずに、混乱が予想される。自治体も実務が複雑・煩瑣になることに戦々恐々と しており、うまく滑り出すのか懸念される。

●一般患者と違う払い戻し 制度に留意

 70歳以上の患者について、新たな負担上限が設けられ、外来では在宅総合・ 在宅末期総合算定患者を除 き、定率負担分を徴収した後に、負担限度額を超えた 部分を、後から患者に払い戻す、償還制度が導入され た。この制度の導入に反対 で現物給付を望む声が多い こともあり、手続きは一部 簡素化される予定である。
 償還は高額医療費制度 (70歳から74歳は高額療養費)により行われる が、初回の償還該当の月に、 一度「老人保健高額医療費 支給申請書」を区市町村に 提出しておけば、国保連合 会が払い戻し事務を代行し 自動的に償還される。ただ し、具体的な手続き方法は 各区市町村で決定された め、これと異なる方法がと られる場合もある。また、在宅総合・在宅末期総合算定患者と入院の場合は負担上限までは窓口徴収し、 それを超える部分は現物給付される。
   さらに、一人の患者が複 しの医療機関に受診、または同一世帯に属する複数の 老人が受診した場合は、世帯単位で高額医原費(70 歳〜74歳は高額療養費)制度が適用される。こ れは一般患者(70歳未満) の高額療養費制度がレセプ ト単位で、限度額を超えた場合に払い戻しを受けるのとは違い、患者・世帯単位 で適用される。つまり、同 一月のレセプトの負担額を全て合算し、限度額を超えた場合に払い戻しが受けられる。また、同一世帯の他の老人患者分も合算し、さ らに払い戻しが可能というものである。
 
●健康保険法関連
三割負担、外来薬剤別途負担廃止は来年4月、三歳未満二割負担、一般の高額療 養費引き上げは今年10月

 社保・国保の3割負担への統一は来年の4月から実施される。本人、家族とも 外来・入院ともに3割負担となる。また、退職者医療 も同様に来年4月からは3割負担に統一される。これにあわせて同時に一般患者 の外来薬剤別途負担は廃止 される。
 ただし、3歳未満の2割負担への軽減と、高額療養費の負担限度額制度の変更は、今年10月から実施となる。高額療養費の負担限度額は高所得者で1万8千 円、一般で約9千円引き上げられる。

●保険料1万5千円増、受診抑制に影響

 窓口負担以外に影響が大 きいのは保険料の引き上げ だ。来年四月からは月収とボーナスも含めた年収にー定の料率がかかる「総報酬制」となる。
 中小企業が加入する政管健保はボーナスを含めると、平均7.5%である保険料率が8.2%へ引き上げられる。年収470万円(月収30万円、ボーナス1.9ヵ月分)の平均的 加入者の場合、約1万5千円(労使合計3万1千円)の保険料の負担増となる。 可処分所得が減少し、実質的な賃下げとなる。大企業の健保組合の保険 料率は法律では決められな いが保険財政が悪化する中、料率の引き上げを検討中のところが多い。

●都の公費負担医療の窓口扱いも十月から変更
  老人医療に準じて窓口徴収をしているマル福・マル障、マル親医療の扱いも変更される予定で、明らかになり次第お知らせする。

東京保険医新聞 2002年8月25日号


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