■中医協が再診料などの逓減制廃止を答申 6月1日施行へ
中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は21日の総会で、再診料などの逓減制廃止について、厚労相からの諮問どおり答申した。医療機関に支払う再診料をその月の通院回数に応じて減額する「逓減制」を廃止し、診療所には73点(730円、1点=10円)、病院(200床未満)には58点(580円)を毎回支払う仕組みに改める。実施は6月1日から。
新しい再診料は、医療機関側(日本医師会など)と保険者側(健康保険組合連合会など)の合意に基づいて、医療費の増減がない「財源中立」を条件に設定された。14年4月の診療報酬改定の際、再診料は医科の医療費ベースで0・08%引き下げられている。そのため、13年度の水準よりも0・08%低くなるように逆算して新・再診料を求めた。外来管理加算と老人外来管理加算(計画的な医学的管理を行った診療所、200床未満病院に支払われる診療報酬)、200床以上病院の再診料である、外来診療料の逓減制も同時に廃止する。
総会に先立って開催された診療報酬基本問題小委員会では、今回決定した単純に逓減制を廃止する案と、再診料をこれよりも1点(診療所74点、病院59点)高くする代わりに尿中一般物質定性半定量検査を包括する案の2案が示された。
尿検査を包括する案について青柳俊委員(日医副会長)は、糖尿病や妊娠中毒症、脱水症状など頻繁に尿検査を行う必要がある疾患では別途、検査料を支払う措置が不可欠であることを示唆。包括しない形での決着を求めた。包括化を求めていた保険者側の下村健委員(健保連副会長)も、「包括化しておいて別途算定となると飲めない」と主張。最終的には単純に逓減制を廃止することで意見がまとまった。
なお、保険者側の要請を受けて答申には、今回の再診料見直しはあくまで臨時特例的措置であり、2年ごとに診療報酬を改定する現行ルールを変更するものではないことが中医協の意見として付記された。
答申内容は以下の通り。
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【中医協の意見】
1. 今回の再診料逓減制の見直しについては、これまでの診療報酬改定の基本的な考え方を変更するものではないこと。
2. 今回の見直しについては、改定の緊急性に関する十分な資料は得られなかったものの、患者にとって問題があることは認められるところであり、2号側(医療機関側)の主張を理解して実施するものであること。
3. 外来報酬の在り方については、病診の関係、包括等の簡素化を含め、逓減制の考え方も尊重しながら、次期改定に向けて引き続き検討を進めること。
4. なお、今後、速やかに見直しを図る必要のある課題について委員から提案があった場合には、柔軟に検討を行うこととすること。
JPN 2003-05-21 16:42:57