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■04年診療報酬改定は5%程度の引き下げ  財務「基本的考え方」

 財務省が財政制度等審議会に提出する診療報酬改定の基本的考え方が11日、明 らかになった。2004年4月に診療報酬を5%引き下げるというもの。引き下げの理由 について財務省は、(1)賃金・物価の動向(2)医療保険財政の状況―をあげ、 とくに賃金・物価の指標は前回02年4月改定より悪化し、機械的計算でも診療報酬 本体で3%程度の引き下げは不可避と強調している。
さらに11月末に公表される医 療経済実態調査の速報値や薬価・材料価格調査の実態をみれば、「それ以上の引 き下げが求められる」とも指摘。一方、医療保険財政の状況も、03年度末の政管 健保の積立金が300億円程度になるほか、市町村国保も大幅な赤字決算になるなど 「極めて厳しい状況」(主計局)との見方だ。改定率をめぐる駆け引きは、年末の 予算編成に向けて政治折衝までもつれ込む見通しで、早くも財務省が先制攻撃を しかけた格好だ。
 財務省は診療報酬の改定率を決める際の指標として、「賃金・物価」の動向を 注視しており、とくに医療費への影響については医療機関の費用構造が人件費5割、 物件費3割、薬剤費2割となっていることに着目し、いわゆる「費用スライド方式」 で影響率を試算した。次回改定の指標については、人事院勧告が02年度▲2.3%・ 03年度▲2.6%、消費者物価指数も02年度▲O.6%・ 03年度▲O.4%(政府経済見通し) で、医療費の費用構造に照らして機械的に試算すると加重平均はマイナス3%とな り、診療報酬本体の引き下げの前提になるという。前回改定では、消費者物価指 数がOO年度▲1.2%・01年度▲O.3%、消費者物価指数も00年度▲O.5%・ 01年度▲1. O%となり、医療費の費用構造に照らした加重平均はマイナス1.2%となった結果、 診療報酬本体は1.3%引き下げられた。財務省は賃金・物価が前回改定より悪化し ていることを重視し、診療報酬本体にも切り込む必要があるとの考えだ。  また、医療経営の収支状況については、厚労省が11月末に公表する医療経済実 態調査を重視する姿勢を示しながらも、収入増や経営の効率化をみてもさらなる 引き下げが可能とし、これに薬価・材料調査を加えれば、全体で5%の診療報酬引 き下げが求められると強調している。また、医療保険財政の状況も、政管健保の 積立金や市町村国保の大幅な赤字決算に加えて、02年度に鈍化した医療費の伸び が03年度以降に再び増加するとの見方も示している。
 なお、医療費を1%引き下げると患者負担は450億円、保険料は全体で1500億円程 度軽減されるという。財務省は、あす13日の財政審合同部会に診療報酬改定の基 本的考え方を示し、理解を求める方針だ。ただ、2回連続のマイナス改定には医療 関係者からの強い反発が予想され、衆院選を終えた政府・与党を巻き込んで、激 しい議論が展開されそうだ。
11月12日 メディファクス 4322号

■財務省の「診療報酬改定の考え方」に反論 坂口厚労相  

坂口力厚生労働相は11日の閣議後会見で、次期診療報酬改定について5%程度の 引き下げを求めるという財務省の考え方に反論した。
 坂口厚労相は会見で、医療制度改革や診療報酬抜本改革の議論が進められてい る状況を説明したうえで、「医療費をどう抑制していくかということは、早い時 点で疾病に対する手を打って、医療費がかさまないように、大きくならないよう にしていくかということが大事だ」と指摘。そのうえで、財務省が次期診療報酬 改定で5%程度の引き下げを求める方針を示したことについて、「数字のうえで何 %ずつ切っていくというようなやり方をしていくと、日本の医療は崩壊してしまう。 そういうやり方には反対したい」と述べた。
11月12日 メディファクス 4322号

■財務省、経済界の考えに基づく医療改革を批判 日医・櫻井常任理事  

日本医師会の櫻井秀也常任理事は11日、静岡県一人医師医療法人会のセミナー で講演し、財務省や経済界の考えに基づいて進める小泉内閣の医療制度改革に対 して、強い反対姿勢を表明した。櫻井常任理事は、小泉内閣の医療制度改革が「財 務省中心の医療費抑制政策」と、「経済財政諮問会議や総合規制改革会議の医療 で一儲けしたい経済界」の考え方が「2つ絡み合い出てきている」と分析。内閣と して、「改革の大きな柱に経済政策を中心に置き、そのなかで医療を考えている」 ことに強い憤りを示した。また、米国通商代表部が導入を求めている医業経営へ の株式会社参入についても、医療への市場原理の導入に反対する観点から、容認 できないとの考えを改めて強調した。  櫻井常任理事は、「小泉内閣の企図する医療改革の実態」をテーマに講演。老 人一部負担の完全定率化や被用者保険3割負担の導入、診療報酬のマイナス改定と いった医療保険制度改革に加え、一連の規制緩和政策を含め、小泉政権下で行わ れてきた医療制度改革が、国庫負担の軽減を図る「財務省中心の医療費抑制政策」 と、「経済界中心の市場原理の導入策」から成り立っていることを問題視。とく に医療費抑制策では、マイナス改定に加えて負担増による受診抑制で、医療費に マイナスの影響が起きていることを指摘。医療費の総枠管理を目的とした伸び率 管理についても「(現在のところ)入ってはいないが、狙っていることは事実」と して、動向を注視する必要性を示した。
このほか、IT化の推進やEBMに基づく診療 ガイドラインの整備についても、医療費抑制につなげる「裏の意図」に注意を払 うことが求められるとした。  一方、規制改革に関しては、株式会社の医療経営参入を中心とした医療関連特 区の動向を問題視した。桜井常任理事は今年度中にも特区法が改正され、来年4月 以降に申請を受け付けると見通したうえで、人員配置や設備基準などは医療法上 の規制を受けることを強調。開設許可申請があがってきた場合は、各県医療審議 会での慎重な検討が求められるとした。                
   11月12日 メディファクス 4322号


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