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■インフルエンザワクチン、入手不能医院続出 在庫偏り? 
朝日新聞

 
インフルエンザの予防接種でワクチンを使い切った医療機関が、卸会社に再注文しても入手できない事態が起きている。厚生労働省は、ワクチンが特定の医療機関や卸会社に偏っている可能性が高いとみて、在庫を調整するよう、関係自治体と医薬品卸業界に要請した。

 「インフルエンザワクチンの追加注文を卸会社に断られる医療機関が出ている」「供給状況はどうなっているのか」という問い合わせが厚労省に相次いでいる。28日までに福岡、広島、兵庫、富山、神奈川、東京など15都県に上った。

 広島県福山市の医院では26日に卸売業者へワクチン5本を注文したところ、「在庫はない」と断られた。別の業者も「ない」の一点張り。連日、約10人の接種希望者がいるが、謝って、予防接種を断っている。

 厚労省は、各都県に対し、地元の卸会社や医療機関の在庫量を調べ、在庫の偏りを解消するよう働きかけることを指示。日本医薬品卸業連合会にも連携して安定的に供給するよう求めた。
 今季のワクチンの供給量は昨年使用量の4割増しの1480万本にのぼる。開業医から入手困難の訴えがあった沖縄県でも、調査をしてみたところ、大病院などに5万本以上が残っていた。これから接種を受ける人は4万6000人程度とみられ、足りる見通しという。

 ワクチンは、メーカーと販売会社が都道府県別の需要を調べ、病院などから注文をとった卸会社が届ける仕組みになっている。「在庫はあるが、納入先はすべて予約で決まっている」と話す卸会社もある。厚労省は、沖縄以外の14都県でも、同様に十分な量が残っている可能性が高いとみる。

 今季分のワクチンは、メーカーからほとんど出荷済み。生産には半年かかるため、もう今季の追加生産はできない。一方、初期症状が似ている新型肺炎SARSとの同時流行が懸念され、すでに接種を受けた人は例年より多いとみられる。

 厚労省は「ワクチン不足と騒がれた99年でも3万本余った。いまワクチンが不足しているとは思えない。接種を希望する人は事前に医療機関へ在庫を確認してから受診を」と話している。
(2003/11/29) Asahi.com


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