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■本体改定率は0%で決着 次期診療報酬改定    

 中央社会保険医療協議会(=中医協、厚生労働相の諮問機関)は18日夜、来年4月の診療報酬改定における診療報酬本体(医師などの技術料)の改定率を0%にすることを決めた。現在の財源的枠組みのなかで診療報酬単価の組み替えなどによる改定を実施することになる。日本医師会など医療提供側がもっとも懸念していた診療報酬本体の引き下げは回避された。医療用医薬品の薬価等は1・05%下げられるため、診療報酬全体では差し引き1・05%のマイナス改定になる(数値はいずれも医療費ベース)。 
 当初、医療提供側は診療報酬全体でプラス改定になるように薬価等の引き下げを上回る診療報酬本体の引き上げを、保険者側は薬価、診療報酬本体とも引き下げることを要求。改定率では医療提供側が4・2%の引き上げ(実際には医療事故防止対策などに充てる費用として1兆2500億円の実額で要望)、保険者側が2・7%の引き下げと大きな開きがあった。
  ただ、公益側委員が間に立った個別折衝の過程で双方が意見の一本化に向けて歩み寄り、18日未明の段階では、診療報酬全体はマイナス改定とする方向がほぼ固まり、調整の焦点は本体部分も引き下げるのか、若干でも引き上げるのかに絞られていた。
  18日午後に再開された中医協総会で、青柳俊委員(日本医師会副会長)は「医療機関が薬価・医療材料の1・05%引き下げの影響を受けることから視野を外さないで欲しい」と述べ、医療の質と患者の安全を守っていくためにも、経営原資の減少に直結する本体部分には切り込むべきではないとの認識を改めて表明。ギリギリの線として0・5%の引き上げを提案した。対馬忠明委員(健康保険組合連合会常務理事)は、歩み寄りを評価しながらも、「あと一歩、半歩努力していただきたい」として、0・5%の引き下げを要求。
  総会を一時中断して再び行った個別折衝で、財源的にはプラスマイナスゼロとするなかで、小児医療、精神科救急医療などの重点的な対応が必要な項目は手厚く、合理化が必要なものにはメスを入れるといった「メリハリ」の利いた改定を行うことで、合意に達した。
  今回の改定をめぐっては、財務省が11月上旬に診療報酬全体で4〜5%の引き下げを行う方針を提示。小泉首相も今月に入って診療報酬本体の引き下げを財務省に指示し、一時は初めて本体に切り込んだ2002年改定を彷彿させたが、結果は本体引き上げこそ実現しなかったものの、医療提供側がプラスの方向に揺り戻した格好になった。
   なお薬価等の改定率の内訳は薬価▲0・89%(通常改定▲0・80%、後発品のある先発品:長期収載品▲0・09%)、医療材料▲0・16%。 
(JPN 2003-12-19)
 
■中央社会保険医療協議会の審議報告(18日の総会で了承)
 
 1 診療報酬改定
 次期診療報酬改定に当たっては、フリーアクセスを原則としつつ国民皆保険体制を持続可能なものとし、患者中心の質がよく安心できる効率的な医療を確立するという基本的考え方に立って、「平成16年度診療報酬改定の基本方針」に沿った合理的でメリハリのついたものをめざす。
 現状の厳しい経済情勢を反映する中で、医療の安全・質の確保、具体的には、DPC、小児医療・精神医療等を重点的に評価し、国民が納得できる改定とする。
 支払側、診療側双方とも上記改革を進めるために診療報酬改定を行うことに合意した。

 2 薬価及び特定保険医療材料価格改定
 薬価については、薬価の在り方に関するこれまでの議論を踏まえつつ、最近の我が国の医療保険財政を取り巻く状況に鑑み、引き続き、画期的新薬等の適切な評価を行うとともに、流通過程における価格形成の実態を含め、市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化、先発品の価格の適正化を図る。
 また、特定保険医療材料価格については、特定保険医療材料価格に関するこれまでの議論を踏まえつつ、商品の国際流動性の高まりや最近の我が国の医療保険財政を取り巻く厳しい状況に鑑み、革新的な新規の医療材料については引き続き適切な評価を行うとともに、市場実勢価格を踏まえた価格の適正化と併せ、内外価格差是正の観点からその根拠となるデータについて引き続き精査を行うとともに、価格の適正化を行う。

■プラス改定を勝ち取れなかったのは申し訳ない―青柳日医副会長
                                                
 日本医師会の青柳俊副会長は18日、来年4月の改定で診療報酬本体がゼロ改定になったことについて、「診療報酬本体のプラス改定を勝取ることができなかったのは(日医会員に)申し訳ない」と話した。ただ、「中央社会保険医療協議会での闘いや、(関係議員などへの)働きかけでは、やるべきことをやり尽くしたと思う。4〜5%の引き下げと言う財務省、診療報酬本体と薬価の引き下げを指示した官邸など、『マイナスの逆風』を考えると、満足とは言えないがまあまあ評価できるのではないか」との見方も示した。JPNの取材に答えた。
  診療報酬改定論議が本格化するのに先立って、日医執行部は三師会(日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会)連名の診療報酬引き上げ要望書を持って、坂口厚労相、谷垣財務相ら関係閣僚のほか、額賀自民党政調会長、安倍自民党幹事長ら自民党幹部に会って三師会の考えを伝えている。青柳副会長は「残念なのは政治折衝においても最大限努力したが、なかなか上手く機能しなかった」と振り返り、「原因をよく見極め、そのうえで今後の対応の仕方を考え直さなければならないと思う」と語った。
(JPN 2003-12-19 )


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