■診療報酬改定を即日答申 中医協・総会(H16.2.13)
中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は13日の総会で、坂口力厚労相から4月の診療報酬改定について諮問を受け、即日答申した。初診料を引き上げるほか、小児科、精神科の評価を充実させる。02年改定で導入された.
手術料の減算措置や、リハビリテーションの回数制限は見直す。改定後の診療報酬点数は今月末に官報に告示される。
4月改定での診療報酬本体の改定率はプラスマイナスゼロ。そのため、検体検査など「もの代」の引き下げで浮いた財源を、「技術料」の引き上げに充てた。
今回の改定で争点になった手術料の施設基準は、(1)年間症例数(2)その手術の臨床経験が10年以上ある常勤医師がいる−の2つの要件に加算、減算を組み合わせた仕組みに見直す。年間症例数、医師要件とも満たす場合は手術料の5%を加算、両方とも満たせない場合は従来通り手術料を30%減算する。年間症例数は足りないが医師要件は満たしている場合は、加算、減算いずれの対象にもならず、規定の手術料を請求することになる。
初診料は病院が255点(現行250点)、診療所は274点(同・270点)に引き上げる(1点=10円)。200床以上の病院の再診料にあたる、外来診療料は72点(同・68点)に引き上げる一方、この中に含まれているとして別請求を認めない検査を増やす。
入院医療では、回復に向かいつつある患者や、病状が悪化した在宅患者の受け入れ先になる医療機関を評価する目的で、「亜急性期(急性期と慢性期の中間)」を対象にした入院料(亜急性期入院医療管理料=1日あたり2050点)を新設。医師が2人以上いて、夜間の緊急時にも対応できるように看護職員を配置している有床診療所(19以下の病床をもつ医療機関)について、1日あたり40点の加算を設ける。
小児医療については、夜間・休日の時間外に6歳未満の乳幼児を診療した場合の加算を引き上げる。地域の医師が連携して小児の休日・夜間診療に当たることを評価する、「地域連携小児夜間・休日診療料」は、「24時間対応」としている要件を「夜間・休日の決められた時間」に緩める。02年改定で新設されたものの、要件が厳しく、導入は全国で17施設に止まっていた。
また、1か月分を超える薬の処方(長期投薬)が増え、かかりつけの医師による指導・管理が重要になっていることから、「特定疾患処方管理加算」(診療所、200床未満の病院が対象)に長期投薬の区分を追加。糖尿病や高血圧症患者などに対して、28日以上の処方を行った場合、月1回を限度に45点を処方料(または処方せん料)に加算する。医科のおもな改定内容は下記の通り。
(資料)2004年 医科診療報酬改定内容 主なもの
【外来】○初診料
病院 250点 → 255点
診療所 270点 → 274点
○外来診療料(200床以上の病院の再診料) 68点 → 72点
・包括する尿検査、糞便検査、血液形態・機能検査の範囲を拡大
【入院】
○有床診療所 入院基本料1群1への加算 (新設) 40点(1日につき)
・入院基本料1群1(看護職員10人以上)をとっている有床診療所で、医
師が2人以上おり、夜間に看護職員を配置している場合に加算
○亜急性期入院医療管理料 (新設) 2050点(1日につき)
・亜急性期医療を必要とする患者について、一定の期間に在宅復帰を目指し て実施する入院医療管理を評価。90日を限度に算定。
要件:一般病棟の病室単位で算定、看護配置は患者2・5人に対して1人、 在宅復帰支援担当者を配置、退院患者の6割以上が在宅等へ退院等
○ハイケアユニット入院医療管理料(新設) 3700点(1日につき)
・一般病棟よりも手厚い体制の治療室で重症度の高い患者に対して行う集中 的な治療を評価。21日を限度に算定。
要件:常時患者4人に対して1人の看護師を配置、特定集中治療室(ICU) に準じる設備、8割以上の患者が重症度の基準を満たしている等
○臨床研修病院入院診療加算(新設) 30点(入院初日のみ)
・研修医のカルテの記載について指導医が指導・確認する体制が整っていることなどが要件
○褥瘡患者管理加算(新設) 20点(入院中1回)
・褥瘡のハイリスク患者に対して診療計画の作成や、必要な器具の整備などを行った場合に算定
【投薬】○特定疾患処方管理加算 処方期間28日以上の区分を新設 45点(月1回)
・糖尿病や高血圧性疾患などが主病の患者に対して28日以上の長期投薬を行った場合に算定。診療所と200床未満の病院が対象。
【小児】○小児外来の時間外加算の評価見直し
乳幼児の時間外加算 初診時 102点 → 115点 ほか
○新生児入院医療管理加算 250点 → 750点
○地域連携小児夜間・休日診療料の算定要件緩和
24時間対応 → 夜間・休日の定められた時間に対応等
【精神】○医療保護入院等診療料 (新設) 300点 (入院中1回)
・医療保護入院および措置入院の患者に対して精神保健指定医が計画的な治療管理を行った場合に算定
○特定抗精神病薬治療管理加算 (新設) 10点 (1日につき)
・精神科急性期治療病棟入院料など、投薬関係の費用が包括評価されている病棟で非定型抗精神病薬を使った治療を行った場合に算定
【そのほか】 ○手術料の施設の暫定的基準見直し
・症例数と医師経験年数の基準を満たす施設は手術料に5%加算
・症例数は基準に満たないが、医師経験年数の基準を満たす施設は減算の対象としない
・症例数、医師経験年数とも基準に満たない施設は手術料を30%減算
・その他、共通の要件として症例数の院内掲示、手術内容・合併症等についての患者への説明等を新設する。
○180日超入院の除外要件見直し
・180日超入院を対象にした入院料特定療養費化の除外要件に、15歳未満の患者などを追加する。
○リハビリテーション等に関する逓減制及び算定制限の見直し
集団療法
集団療法については、患者1人につき1日2単位、かつ、1月に合計8単位に限り算定する。ただし、急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者であって発症後180日以内のものについては、1日2単位、かつ、1月に合計12単位に限り算定する。
介達牽引の新設介達牽引(1日につき) 35点
消炎鎮痛等処置を併せて行った場合は、主たるものいずれかの所定の点数のみにより算定する。
同一の患者につき同一月において、介達牽引及び消炎鎮痛等処置(器具等による療法及び湿布処置に限る)について併せて5回以上行った場合は、5回目以降については所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。ただし、急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者であって発症後180日以内のものについては、7回以上行った場合は、7回目以降について所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。
消炎鎮痛等処置(注の変更)
同一の患者につき同一月において、2及び3の療法について併せて5回以上行った場合は、5回目以降については所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。ただし、急性発症した脳血管疾患等の疾患の患者であって発症後180日以内のものについては、7回以上行った場合は、7回目以降について所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。
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