■日医が診療報酬改定で説明会 DPC試行は4施設でスタートへ (H16.3.4)
日本医師会(坪井栄孝会長)は4日、4月1日の診療報酬改定に向けた説明会を開いた。このなかで青柳俊副会長は、2年間の試行がはじまる急性期入院の診断群分類別包括評価(=DPC、疾病グループごとに設定された定額の診療報酬を支払う仕組み)について、4月からの参加は国立病院1施設と民間病院3施設になると報告。6月から社会保険病院も加わる予定であることを明らかにした。
これまでは基準を満たさない医療機関の入院料を一律に減額していた褥瘡(床ずれ)対策未実施減算は、小児や妊婦など床ずれになりにくい患者を対象から外す見直しを図ったと説明。一方で、床ずれのハイリスク患者に適切な対応とった場合の加算評価を新しく入れたことを示した。
発症間もない時期からリハビリテーションを行った場合に加算評価する「早期リハビリテーション加算」の対象に四肢の切断、関節の手術後の患者などを追加。同加算の対象者はリハビリテーションの逓減制、回数制限などの適用が免除されたり、緩和されたりすると解説した。
おもな改定項目の運用、施設基準は以下のとおり。
―外来―
【地域連携小児夜間・休日診療料】
・基準見直し:
▽24時間・365日対応→休日、夜間・深夜の医療機関があらかじめ定めた時間に対応▽届出医療機関以外の協力医師が診療した場合にのみ算定→廃止▽届出医療機関以外の医師5人の協力を含め、10人以上の医師→届出医療機関以外の医師3人の協力。
【長期投薬(特定疾患処方管理加算)】
・基準:
主病が糖尿病、高血圧、胃潰瘍などの特定疾患である患者に対して、特定疾患を対象に28日以上の処方を行った場合。同じ月内に従来区分(15点)と併算定することは不可。
―入院―
【ハイケアユニット】
・施設基準:
▽専任の常勤医が常に1人以上▽看護配置常時4対1以上▽専用の治療室がある▽救急蘇生装置(気管内挿管セット、人工呼吸装置など)、除細動器、心電計、呼吸循環監視装置を治療室内に常時備えている(緊急の事態に対応できるのであれば、隣接する特定集中治療室との共有も可)▽重症度・看護必要度が一定基準に達する入院患者が8割以上いる。
・そのほか:
▽1病院30床以下▽21日を限度に算定(特定集中治療室とのの合算)▽入院基本料、入院基本料等加算(地域加算など1部は除外)、検査、点滴注射、留置カテーテル設置などを別に出来高払いで算定することは不可。
【亜急性期入院医療管理料】
・施設基準:
看護配置2・5対1以上(看護師7割以上)▽理学療法3以上▽退院患者の6割が在宅などへ移行▽一般病棟の病室単位で算定し、最小10床、最大は一般病床数の1割以下または40床以下。
・そのほか:
▽入院から90日が限度▽臨床研修病院入院診療加算、地域加算などの一部加算、リハビリテーション、指導管理、精神科専門療法、手術などは出来高払いで算定可▽診療録管理体制加算の届出については04年9月30日まで猶予。
【褥瘡対策】
・褥瘡対策未実施減算の基準見直し:
▽褥瘡対策専任の医師、看護職員で構成する対策チームの設置▽日常生活の自立度が低い入院患者に対する危険因子の評価を実施(自立度が高い、ランクJ1−A2の患者については不要)−を満たさない場合に減算。診療計画の作成、体圧分散式マットレスの使用は基準から外した。
・褥瘡患者管理加算の新設:
▽褥瘡の危険因子がある患者、すでに褥瘡がある患者に専任の医師、褥瘡看護について5年以上の経験がある看護師が診療計画を作成し、褥瘡対策を実施・評価▽患者の状態に応じて体圧分散式マットレスなどを適切に選択し、使用する体制が整っている−を満たす場合に算定。
【有床診療所1群入院基本料1への加算】
・医師が常勤換算で2名以上おり、夜間に看護職員を1名以上配置(半年は補助者でも可)している場合に算定。
【臨床研修病院入院診療加算】
・施設基準:
▽指導医には7年以上の臨床経験▽研修医2・5人に対して指導医1人以上▽医療法の医師配置基準を満たしている▽臨床研修病院であって研修管理委員会が設置されている単独型臨床研修病院、あるいは管理型臨床研修病院(大学病院を含む)▽全職種を対象にした保険診療に関する研修を年2回以上実施▽研修医数が病床数を10で割り算した数、または入院患者数を100で割り算した数を超えない―場合に算定。
【老人性痴呆疾患治療病棟入院料2】
・施設基準:
看護職員配置6対1▽看護補助者配置5対1▽作業療法の経験を有する看護師を「作業療法士が1人以上勤務している」とみなす。
【早期リハビリテーション加算】
・対象の拡大:
▽急性発症した脳炎・ギランバレーなどの神経筋疾患▽高次脳機能障害▽脳性麻痺▽四肢の骨折・切断・離断・腱損傷▽脊椎・肩甲骨・関節の手術後▽四肢の熱傷▽気道熱傷を伴う熱傷▽多発外傷▽植皮術後―の患者を追加。
・リハビリテーション等の逓減・算定制限の見直し:
▽理学療法(3)(4)、老人理学療法(3)(4)、言語聴覚療法(1)(2)の個別療法について発症後90日以内は逓減対象外▽集団療法について発症後180日以内は1日2単位、1月12単位まで算定可▽消炎鎮痛処置について発症後180日以内は月7回目以降から逓減。
(JPN 2004.3.4)
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