環境省は二十二日までに、病院などから出されるごみから病気に感染する事故を防ぐため、使用済みの注射針やメスなど鋭利なものはすべて廃棄物処理法で厳重な取り扱いを義務付ける「感染性廃棄物」として扱うよう処理マニュアルを改正し、都道府県などを通じて全国の医療機関に通知した。
従来のマニュアルは、医療機関から出るごみを感染性廃棄物として扱うかどうかは、多くの部分を医師の判断に委ねており「基準があいまいだ」との指摘があった。
新しいマニュアルは、血液の付着に関係なく注射針やメス、ガラスの破片などは一律に感染性廃棄物とすることを明示。感染性廃棄物とみなす基準として「(鋭利なもの以外でも)感染症や結核患者の治療、検査に使われたもの」などと分かりやすい例を挙げている。廃棄物を扱う医療機関の職員や処理業者の安全対策に重点を置くのが狙い。
感染性廃棄物は人が感染する危険のある病原体が含まれるため、密閉した容器で収集、運搬するなど一般の廃棄物より厳格な処分方法が廃棄物処理法で定められている。しかし従来のマニュアルでは、血液の付着の程度などをみて医師が「感染性の危険」を個別に判断することになっていた。
例えば血液が付いた注射針でも、健康な人の採血などに使い医師が問題ないと判断すれば一般のごみとして捨てることができた。このため、自治体や処理業者が感染を心配して普通の廃棄物でも引き取りを拒んだり、結果的に不法投棄につながるケースもあった。
感染性廃棄物:記事:共同通信社【平成16年3月22日】
廃棄物処理法では、医療機関から出る廃棄物のうち、人が感染する恐れのある病原体が含まれたり付着している廃棄物と定義している。有害性が高く人の健康に被害を及ぼす「特別管理廃棄物」の一種に指定されており、密閉容器での収集、運搬のほか、焼却や滅菌などの方法で感染力を失わせて処分するなど厳重な処理基準が定められている。