任意保険の一括払いについて

強制保険と任意保険は別々の保険であるので、請求手続きは別々にしなければならない。しかし、それでは手続きが複雑になるため任意保険会社が強制保険会社の支払い額を立て替えて、任意保険の金額とまとめて支払う方法を「一括払い」という。

◆一括払いの利点と問題点

一括払いは、支払い窓口が一本化されて、事務上は便利になる。同時に、任意保険会社にとっても、大きな利点を生む。自賠責保険の場合は、被害者救済の立場から、被害者に重大な過失がない限り、あまり相殺が行われない。しかし、任意保険会社が窓口になる一括払いの場合は、補償全体が厳しく査定されるため、結果的に、被害者を救済するはずの自賠責保険も厳しく査定されることになる

◆労災保険の場合

職務中または通勤途中の交通事故の場合は、健康保険を使うことが出来ない。この場合は、国土交通省と厚生労働省の取り決めで、通常は自賠責を優先させて利用し、次いで労災保険を利用することになっている。しかし、過失割合が非常に高い場合など、事情によっては労災保険を最初から利用することも可能である。



◆ひき逃げ・無保険事故の場合

加害者を特定できない事故(ひき逃げ、当て逃げ)や無保険事故及び盗難車による事故の被害者は、「政府の保険事業」が受けられる。この制度は、自賠法で定められている自動車事故被害者のための最後の救済手段であるため、被害者が使える社会保険などを使ってもなお不足する場合のみ適用される。
従って、医療費についても、健康保険の給付を受けることができる範囲については、補てんの対象とならない。しかし、医療費の一部負担金と入院時食事療養の標準負担額、及び慰謝料、休業障害については、限度額120万円の範囲内で給付の対象となる。損保会社が窓口なっているので相談するとよい。
【自動車損害賠償補償法ー昭和30年法律97号】

出典:診療研究368号 保険事務便覧2001年版p44-p45 東京保険医協会

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