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■診療報酬体系の見直しは「患者の視点」が重点ポイントに
厚労省改革推進本部

 診療報酬体系見直しの論点のひとつに「患者」の視点を取り入れた体系への再構築が掲げられることになりそうだ。14日の厚生労働省医療制度改革推進本部の事務局会合は、診療報酬体系で有識者を招き意見交換を行ったが、有識者側からは、現在の報酬体系は、患者に対する配慮が欠けているなどと指摘された。現行の報酬体系は「診療行為別体系」としている分だけ、医療提供者や保険者の使い勝手の良さを追求する格好となっているが、一方で患者側の視点でみると自分が受けるべき医療行為の値段(価格表)を理解することは極めて難しいというものだ。

坂口力厚労相も国会審議を通じて、度重なる改定でツギハギだらけとなっている現行報酬体系の問題を指摘しており、「国民が理解できる尺度」の設定を強く求めている。患者の視点を取り入れた報酬体系の見直しは、医療施設の機能分化やサービスに応じた医療評価に直結するものとしても期待されており、同省が今後、どのような視点で議論を進めるか注目される。14日の有識者との意見交換では、厚労省から診療報酬体系をめぐる過去の議論や、最近の国会審議を通じて坂口厚労相が主張する体系見直しの論点などが紹介された。診療報酬体系のあり方の見直しでは、医療技術や医療機関の運営コストが適切に反映されるような仕組みの検討が求められているが、とくに坂口厚労相は国会審議を通じて、

(1)コストの基準
(2)疾病の重症度
(3)診療時問
の3点を強調してきた。

この日の意見交換でも、有識者からは「患者の視点に立った時に、時間をどのように評価するかは論点になる」との見解が示された。3分の診療も、30分の診療も同じ点数というのでなく、時間を要する診療内容に対しては、それなりに評価すべきというものだ。診療報酬をめぐる時間の評価は過去の中医協における議論でも浮上していたが、診療時間の定義をめぐって診療・支払両側の意見集約が図られず、導入が見送られた経緯もある。ただ、いずれにしても「患者」が理解できる報酬体系の確立は、患者側のコスト意識や医療内容、医療サービスを理解するうえで重要視すべき項目に掲げられそうだ。
 一方、今後の診療報酬体系の見直し論議にあたって想定される論点では、

(1)出来高払い、病院・診療所の一本体系
(2)あるべき医療の姿を踏まえた見直し
(3)医療機関の運営コストを適切に反映
(4)包括化、DRGの試行・調査
(5)医療政策の方向と診療報酬による誘導
(6)公的医療保険の守備範囲の見直し
(7)新しい医療技術などへの対応

などがある。同省医療制度改革推進本部では、今後数回にわたり有識者との意見交換を行い今秋にも一定の考え方を示す方針で、外部の有識者や審議会に諮る方針。「中医協もひとつの議論の中心的な場」(医療課)としている。

6月17日(月) メディファクス 3978号


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