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■緊急レセプト調査結果を「21世紀議連」に説明  日医

自民党の「21世紀の社会保障制度を考える議員連盟」(会長:橋本龍太郎元首相)は21日、東京都内のホテルで幹事会を開き、日本医師会が今年4月の診療報酬改定の影響を検証する日的で実施した緊急レセプト調査の集計結果(中間報告)について説明を受けた。日医の石川高明副会長によると、橋本会長は説明後、健保法等改正案や今回の診療報酬マイナス改定が「重要な問題を含んでいる」との認識を示すとともに、「患者負担を増やしたり、診療報酬改定幅と実態の乖離が大きいものを改めないと今後の選挙にも影響し、医療関係者からの立候補もでなくなる」との危倶を示したという。
 同日の会合には橋本会長はじめ、丹羽雄哉医療基本問題調査会長、金田勝年厚生労働部会長、山本幸三厚生専任部会長らが出席した。日医の集計結果によると、病院・診療所別の影響率(前年同月比)は病院1.6%減、診療所3.6%減と診療所への影響が強く表れている一方、入院、入院外別では入院3.O%減、入院外1.4%減となった。また、診療科別では、整形外科が4・2%減、産婦人科3.3%減、皮膚科・泌尿器科3.2%減で、当初から指摘されていた整形外科への影響が強く表れている。
 今回の集計結果について出席議員は本紙取材に対して、「数字の評価が難しい」「4月単月の結果だけで判断できない」「評価は難しいが病院経営は確実に厳しくなっている。見直しが必要だ」「とくに影響が大きい診療科には手当てすべき」などとコメントした。
6月21日(金) メディファクス 3982−2号


■「緊急レセプト調査」4月診療分の集計結果について(速報)
                      日本医師会長 坪井栄孝

本年4月の診療報酬改定の影響を把握することと、今後の対応を検討するための基礎資料とすることを目的に、標記調査を貴職にご依頼したところ、ご協力医療機関から多数の貴重なデータをいただき、まことにありがとうございました。
 当初予定しておりました医療機関数を上回り集計作業が遅れておりましたが、今回の集計(速報)は、4月分データのうち、社保(老人・一般)、国保(老人、一般、退職者)の件数、日数、点数の揃っている3480医療機関のデータに基づくものであります。 その結果まとまりましたのでファックスでお送りいたします。お送りいたしました資料は6月21日の記者会見で公表する予定であります。
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1.調査の目的
 ○本調査は、本年4月に行われた2.7%マイナスの診療報酬改定に対して、その実際の影響度を病院・診療所別、診療所の主たる診療科     別等に把握・検証し、今後の対応を図る指標とすることを目的とする。

2.調査の方法
 ○都道府県医師会を通じ、会員医療機関に定点で以下のデータ提出 を依頼した。
  ・医療機関基本情報および昨年と今年の4月診療分、5月診療分の 社保、国保の診療報酬請求書(総括表)
 ○これらのデータから、昨年と今年のレセプト1件当たり点数、同1件 当たり日数、患者1人1日当たり点数を比較し、改定の影響を追って いる。
 ○総括表を元デ−タとしているため、診療行為別明細は把握していない

3.調査客対数
 ○4月診療分の提出データのうち、入院・入院外、社保・国保、一般・老
    人別に件数、日数、点数のデータがそろっているもの、3480医療機関
    分を集計・分析対象とした。(2002年4月診療分レセプト件数換算3140
    741件)

4.速報値発表の目的と限界
 ○この調査は、4月〜6月の3ケ月を調査対象期間として、最終の結果 発表は8月中旬を予定している
  ○各方面からの要望に基づき4月診療分の速報値を発表するが、当然 ながらこれが最終緒論ではないことに十分ご留意願いたい。
  ○医療機関全体・全数への影響や、医療機関経営への影響については、今後発表される医療費経年変化システムおよびメディダス等の分 析結果により検証されることとなる。

5.置き換え法について
 ○診療報酬の変動を調べる方法をしては、置き換え法と呼ばれるレセプト1件毎に新旧診療報酬で計算して、その差異を比較する方法もある。
     この方法を一部医療機関データで試行してみたが、特に病院において、全レセプトを対象に置き換え作業を速やかに行うことは困難であった。
 ○また、全国的に実施するとした場合に、統一的な置き換え作業を設定することも困難こ思われ、この方法は見送ることとした。

6.自然増について
 ○医療費に影響を与えるものとして、診療報酬改定の他に、人口の増加や高齢化によ医療需要増、医療機器や検査法など、医療技術進歩に伴う 医療需要増、新薬の投入等による物の価格の上昇、患者の受診行動の変化による診療実日数の変化等、−般に自然増と呼ばれる多様な関数 がある。
 〇診療報酬改定の影響を検証するためには、自然増の影響を排除することが重要である。しかし、レセプトを情報源とする場合においては、前項の置き換え法を含め、この自然増の要素を完全に排除する方法はない。
 ○なるべく、自然増の要素を排除する方法として、診療実日数1日当り医療費の変化の追跡が妥当と思われる。 しかし、これは単価の変化を追うものであり、医療費の変化を実感しにくいという欠点がある。したがって、1日当り点数に加えて、1件当たり点数を参照していくのが妥当な見方である。
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●総点数:診療所 ー3.7%、病院 ー1.3%、合計 ー2.4%
●総件数:診療所 ー2.3%、病院 ー0.1%、合計 ー1.7%
●総日数:診療所 ー1.6%、病院 ー0.1%、合計 ー1.1%
●一件当たり点数:診療所-1.4%、病院-1.2%、合計-0.7%
●一件当たり日数:診療所+0.7%、病院+0.0%、合計+0.6%
●一日当たり点数:診療所02.1%、病院-1.2%、合計-1.3%
●入院外診療科別
 ○内科:ー0.6%
 ○小児科:ー2.6%
 ○精神科:+1.2%
 ○外科:ー3%
 ○整形外科:ー4.2%
 ○産婦人科:ー3.3%
 ○眼科:ー1.6%
 ○耳鼻咽喉科:ー1.2%
 ○皮膚科:ー3.2%
 ○泌尿器科:ー3.2%
 ○その他:ー3.1%

2002/6/21JCOA-MLより


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