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■1日あたり点数は病院0.8%減、診療所3.4%減
日医・緊急レセプト調査速報


日本医師会は21日、今年4月の診療報酬マイナス改定の影響を検証する目的で実施した緊急レセプト調査の集計結果(4月診療分、速報)を公表【一部既報】した。それによると、診療報酬単価の影響をみる場合の目安となる患者1人1日あたり点数
は病院0.8%減、診療所3.4%減と診療所への影響が強く表れている一方、診療科別診療所の入院外1日あたり点数は、整形外科が6.9%減、泌尿器科6.3%減となっており、整形外科と並んで泌尿器科に大きな影響が出ている。また、院外処方を行っ
ている診療所の1日あたり点数は10.4%減と1割以上も減少、医薬分業に取り組んでいる診療所にマイナス改定の影響が大きく表れている。
 青柳俊副会長は集計結果について、例年の診療報酬改定でも4月診療分は伸び率が低くなる傾向にあることを指摘したうえで、
(1)今年4月の改定率(2.7%減)は2000年6月の社会保険診療行為別調査のデータを用いており、2年前と診療パターンが変わっているかもしれないがその影響を無視している
(2)直近の診療行為別調査で行うのが理想だが、そうはいかず影響率に限界がある−と理解を求めた。
そのうえで、今回の診療報酬改定では医薬品の長期投与に関する制限が原則撤廃されたことから、「今後、調剤医療費の増減をみて、増加したら投薬期間が伸びたファクターがあるとみてほしい」と補足説明した。また、速報値に基づく診療報酬再改定要求の可能性について「最終的には3か月間分を分析しないと提案には至らない。今回は数値を説明するだけで、次にどうするかというのはまだ早いとの認識を示し、3か月分のデータをもとに対応を判断する構えをみせた。

 緊急レセプト調査は、都道府県医師会を通じて、会員医療機関に定点で
(1)医療機関基本情報(プロファイル)
(2)01年と02年の4月、5月、6月診療分の杜保、国保の診療報酬請求書(総括票)−を提出してもらい、レセプト1件あたり点数、同1件あたり日数、患者1人1日あたり点数を比較し、マイナス改定の影響を検証している。調査客体数は4月診療分データのうち、入院・入院外、杜保・国保、一般・老人別に件数、日数、点数のデータが揃っている診療所3162施設(無床2520施設、有床642施設)、病院318施設の計3480医療機関(レセプト件数換算314万741件)。

 集計結果によると、1日あたり点数は病院0.8%減、診療所3.4%、入院外2.4%減となった。
 診療所入院外の診療科別1日あたり点数は、整形外科が6.9%減、泌尿器科6.3%減、外科3.8%減で、整形外科と並んで泌尿器科に大きな影響が出ている。



■病院の診療報酬マイナス改定の影響は3%程度に
日病・影響度調査


 200床未満の病院はマイナス改定の影響が大きいものの、全体としては診療報酬引き下げ率程度に収まりそう−。日本病院会が4月診療分を対象に行った診療報酬改定の影響度調査分析が21日、中間発表され、1人1日あたり点数(中央値)が改定前と比べ入院で1.2%減、外来は3.0%減になったことがわかった。まだ、実施されていない改定内容もあり、全体の影響度は不明だが、調査にあたった関田康慶東北大大学院教授は「病院ではマイナス改定への対応行動が始まっており、結果と
しては3%程度のマイナスになるのではないか」としている。
 調査分析の中間集計は、21日都内で開かれた日本病院学会の緊急報告フォーラムで発表された。日病の統計情報委員会(中後勝委員長)が会員病院を対象に5月に実施し、回答数は610病院(回答率約24%)。回答では私的200床未満、公的400床以上病院が4分の1程度を占めた。
 調査分析では、マイナス改定後の4月分と、改定前の2、3月分について1人1日あたり点数(中央値)を比較。その結果、公的病院が入院1.0%減、外来2.8%減になり、私的病院では入院1.3%減、外来3.4%減になった。私的200床未満の外来が3.9%減と
大きく、「200床未満病院にマイナス改定の影響が強く出ている」(関田氏)ことかわかった。過去の改定と比べると、入院では、前々回の98年改定が0.7%増、00年改定は0.7%増、今回が1.2%減だった。外来はそれぞれ、1.9%減、1.5%減、3.0%減で、今回改定は入院・外来ともにマイナスとなる改定だった。また、マイナス改定の影響度合いから調査病院の分布を調べると、公的では約6割、私的では約8割の病院が単価減で、公私の間に2割程度の格差があった。また急性期病院では、平均在院日数が短い病院ほど、マイナス影響が少ない傾向があった。
 フォーラムで基調報告した関田氏は、「調査した病院はレベルの高い病院で、標準的な病院ではもう少し減少している可能性がある。10月実施分の改定もあるが、マイナスにならないよう病院側が対応し始めており、おおよそ見積もった設計に近いところの診療報酬改定だったのではないか」と報告。「200床未満病院では改定影響が大きいところと少ないところとの二極化が起きている。病院の機能を明確にしていないと、マイナス影響が強く出ているのではないか」と述べ、今後は各病院が診療機能を明確にすることが重要だと強調した。

6月24日 メディファクス 3983号−1


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